世界に散らばる銀の詩
ひとつの決断をするとき、その頬を静かに、涙がつたった。
まるで流れ星のように――。
世界には六つの国があり、それぞれに女神が創製した〈伝説の宝石〉のかけらが散らばっていた。
〈沙漠の花〉〈湖面の蝶〉〈荒城の月〉〈結晶〉〈光芒〉そして〈火の鳥〉――。
かつてひとつだったそのかけらを集めると、夢が叶うのだという。
月夜の晩に、沙漠の国が盗賊団〈鹿の角団〉によって蹂躙された。
そして、簒奪された宝石のかけら〈沙漠の花〉――盗賊団幹部ハーマンシュタインのもくろみは、〈伝説の宝石〉のかけらをすべて集結させることだった――。
詳細
草原の国のはずれに、古城の建つ丘があった。そこは諸人より「星のふる丘の月の城」と呼ばれていた。
かつて王国の発展に寄与したことで名誉貴族の称号を得た名うての商人ベノワが財宝をかくし、さまざまな罠をしかけて建築したその城は、時を経て、あるじが不在になって以降、積年の風雨と夜盗のしわざで廃墟と化していた。しかし、長い歳月をもってなお発見されていない宝物がひとつだけあった――〈伝説の宝石〉のかけら〈荒城の月〉である。
ベノワの遺した手記により、「月の裏側にかくされたかけら」をもとめて、盗賊団〈鹿の角団〉幹部ハーマンシュタインの刺客ザウターとティファナが古城をめざすなか、沙漠の国の生還者アルバート、ディレンツァそしてルイもまた、辺境の街をおとずれていた――。
主な登場人物
ベノワ |
名誉貴族の豪商。<月の城>の施主。 |
ミシェル |
ベノワが恋慕した令嬢。 |
ブルーベック |
巨人族の子ども。ローチの友人。 |
ローチ |
病床の少女。 |
ハーマンシュタイン |
盗賊団<鹿の角団>の幹部。 |
ザウター |
<鹿の角団>の剣士。 |
ティファナ |
<鹿の角団>の召喚士。 |
アルバート |
沙漠の国の王子。 |
ディレンツ |
沙漠の国の宮廷魔法使い。 |
ルイ |
舞踏団<ルルベル>の踊り娘。 |
詳細
草原の国と王都を航路でむすぶ〈はずれの港町〉にて、内海から漂着した沈没船の船荷から、場末のギャング団の少年バドが〈伝説の宝石〉のかけら――〈湖面の蝶〉を発見する。
時をおなじくして、王都に向かうため乗船すべく〈鹿の角団〉のザウター、ティファナと、沙漠の国の一行アルバート、ディレンツァそしてルイたちが続々と港町へと集まってきていた――。
大望をいだき、幼馴染のトレヴァと故郷をとびだし、港町でギャング団に所属したバドだったが、堕落したギャング団リーダー・デュアンとその恋人メオラ、信用できない同僚のトミーとの関係に嫌気がさし、〈湖面の蝶〉を利用して、〈鹿の角団〉に取り入ろうとするが……。
主な登場人物
バド |
<湖面の蝶>を拾ったギャング団の少年。 |
トレヴァ |
ギャング団所属。バドの友人。 |
デュアン |
ギャング団のリーダー。 |
メオラ |
ギャング団所属。 |
トミー |
ギャング団所属。 |
ハーマンシュタイン |
盗賊団<鹿の角団>の幹部。 |
ザウター |
<鹿の角団>の剣士。 |
ティファナ |
<鹿の角団>の召喚士。 |
ジェラルド |
火の国の王子。 |
アルバート |
沙漠の国の王子。 |
ディレンツァ |
沙漠の国の宮廷魔法使い。 |
ルイ |
舞踏団<ルルベル>の踊り娘。 |
詳細
〈魔導院〉の牧師マイニエリの依頼で「内海における船舶失踪および沈没事件」の調査隊に参加することになった魔法使いの少女パティと小ザルのモカは、王都枢機院の騎士バレンツエラ、ダグラス、ステファンとともに内海西岸の町――〈珊瑚礁の町〉にたどりつく。
内海東岸――草原の国の〈はずれの港町〉でくすぶっていた沙漠の国の一行アルバート、ディレンツァ、ルイもまた、外遊さなかの火の国の王子ジェラルドとその従者レナード、ベリシア、ウェルニック、モレロそして老船長マッコーネルの助力を得て、内海へと漕ぎだす。
おなじく王都をめざす盗賊団〈鹿の角団〉の刺客ザウター、ティファナも、狩人のごとくそのあとを追っていた。
深い霧につつまれた内海で、ルイたちは〈最後の人魚〉をめぐる謎にせまる――。
主な登場人物
ニーナ |
歌手。 |
エドバルド |
音楽家。 |
マティス |
最後の人魚。 |
マッコーネル |
<はずれの港町>の老船長。 |
ハーマンシュタイン |
盗賊団<鹿の角団>の幹部。 |
ザウター |
<鹿の角団>の剣士。 |
ティファナ |
<鹿の角団>の召喚士。 |
ジェラルド |
火の国の王子。 |
レナード/ベリシア |
ジェラルドの従者達。 |
モレロ |
ジェラルドの従者。まじない師。 |
ウェルニック |
ジェラルドの従者。修道士。 |
マイニエリ |
<魔導院>の長。牧師。 |
アルフォンス |
吟唱詩人。 |
パティ |
<魔導院>の魔法使い。 |
モカ |
小ザル。 |
バレンツエラ/ダグラス/ステファン |
枢機院の騎士達。調査隊隊長。 |
アルバート |
沙漠の国の王子。 |
ディレンツァ |
沙漠の国の宮廷魔法使い。 |
ルイ |
舞踏団<ルルベル>の踊り娘。 |
詳細
盛夏――王都は建国一〇〇年祭に沸きたっていた。
沙漠の国の一行アルバート、ディレンツァ、ルイは、国王をことほぐために集結した各国の代表らとともに、にぎやかな式典に参加する。
一方、元<鹿の角団>幹部ハーマンシュタイン卿は、ザウター、ティファナをともなって、<伝説の宝石>のかけら――<光芒>が眠る宝物庫へと忍び寄っていた。
そして、<魔導院>の牧師マイニエリと、謎多き吟唱詩人アルフォンスがつむぐ、空想と回想が織り成す世界で、宝石はにぶい光を放つのだった。
国王マルサリス三世に謁見するアルバートを待つ運命とは――。
主な登場人物
マルサリス三世 |
六つの国を統べる国王 |
コパン |
宮廷道化師。小人族。 |
バレンツエラ |
白盾騎士団副団長。 |
ダグラス |
枢機院の騎士。 |
ステファン |
枢機院の騎士。 |
ハーマンシュタイン |
盗賊団<鹿の角団>の元幹部。 |
ザウター |
<鹿の角団>の剣士。 |
ティファナ |
<鹿の角団>の召喚士。 |
フィオナ |
水の国の王女。 |
ジェラルド |
火の国の王子。 |
レナード |
ジェラルドの従者。 |
ベリシア |
ジェラルドの従者。 |
モレロ |
ジェラルドの従者。まじない師。 |
ウェルニック |
ジェラルドの従者。修道士。 |
アルフォンス |
吟唱詩人。 |
ギュスターヴ |
楽師。 |
マイニエリ |
<魔導院>の長。牧師。 |
パティ |
<魔導院>の魔法使い。 |
モカ |
小ザル。 |
フリーダ |
<魔導院>の魔法使い。パティの親友。 |
シャトレ |
<魔導院>の魔法使い。パティの先輩。 |
レヴァス四世 |
沙漠の国の副王。アルバートの実父。 |
サラ王妃 |
沙漠の国の王妃。アルバートの実母。 |
アルバート |
沙漠の国の王子。 |
ディレンツァ |
沙漠の国の宮廷魔法使い。 |
ルイ |
舞踏団<ルルベル>の踊り娘。 |
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深い眠りについた星ふる丘の城に、さだめの月がゆれる夜。
孤独な巨人の子とやさしい少女のきずなが、哀しき城主の秘密と結ばれる。
永く短い夜をこえて、旅人たちがみつけるものは――。
本文 288頁(原稿用紙445枚)